Universal Serial Bus
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USB(ゆーえすびー、Universal Serial Bus:ユニバーサル・シリアル・バス)は、コンピュータに周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つである。
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概要
Universal(汎用)シリアルバスの名の示す通り、ホスト機器にさまざまな周辺機器を接続するためのバス規格であり、最初の規格となるUSB1.0は1996年に登場した。現在のパーソナルコンピュータ周辺機器において、最も普及した汎用インターフェイス規格である。レガシーポートとも呼ばれる従来からのシリアルポート (RS-232) やパラレルバス(パラレルポート)、PS/2(マウス、キーボード)端子の置き換えを狙い、今日まで十分にその目的を果たしたと言える。
USB規格では、1つのバスについて周辺機器は最大で127台接続可能である。接続口が足りない場合には、ツリー状に拡張できるUSBハブの使用も想定している。プラグアンドプレイにも対応しており、規格制定当時の一般的な外部インターフェースでは不可能だったホットプラグも可能としていた。
さらにUSB2.0の登場によって転送速度に大幅な向上がみられ、従来のIDE(ATA)やSCSI、イーサネットなど高速転送規格が必要だった機器との接続にも用いられている。
規格にバスパワー、すなわちホストアダプタからの電源供給を規定している。機器利用者の視点からみれば、コンピュータ本体の電源から電力を得ている形になり、後述するようにコンピュータ周辺機器のみならず、単にステーショナリーグッズ、携帯電話やデジタルオーディオプレーヤーなど携帯機器へ電源供給をするための端子としての用途もあらわれた。USBはホスト機器と周辺機器を接続する規格であり、周辺機器同士の直接接続には非対応で、電力供給能力が低いといった限界や柔軟性に欠ける部分はあるものの、現在のパーソナルコンピュータ環境では利便性に優れ、周辺機器との接続に最も使用される規格である。特に外部記憶デバイスとして扱えるUSB接続のUSBメモリは可搬性の高さからよく利用されている。
当初はインテル、マイクロソフト、日本電気、コンパック(現ヒューレット・パッカード)、ディジタル・イクイップメント・コーポレーション(現ヒューレット・パッカード)、 IBM、 ノーザンテレコム 、タイコエレクトロニクスアンプ(現タイコエレクトロニクスジャパン)が仕様を策定したが、2009年3月現在では、NPOである"USB Implementers Forum, Inc."(USB-IF)が仕様の策定や管理などを行なっている。USB-IFは、インテル、ヒューレット・パッカード、マイクロソフト、日本電気、NXPセミコンダクターズ、テキサス・インスツルメンツの6社が主導企業であり、この6社に加え、デル、ノキア、ソニー、サムスン電子など合計180社で構成される。
特許
USBデバイスの製造にあたっては製造者を識別するためのベンダーIDの申請を行う必要があるものの、特許使用料は無料とされている。ただし、類似独自規格の乱造乱立を防ぐ目的で特許自体は存在している。
多くの他のバス規格では、特許料の支払いの関係で個別での契約が必要であるなど、中小法人の参入が難しかったのに対し、USB規格ではルールさえ守れば事実上誰でも参入可能であったことが普及を促進したと言われており、事実、玩具など幅広い機器が発売されている。
USBの各世代
USB規格は、最大転送速度の向上などを求めて何度か規格が拡張されている。これらは1.1から3.0まで上位互換であり、機能や性能が下位規格に縛られる事を除けば、下位規格品と上位規格品を接続しても正しく動作する事が求められている。
規格名 | 仕様発行日 | 最大データ転送速度 | 対応周辺機器の例 | 相当するインターフェース |
---|---|---|---|---|
USB 1.0 | 1996年1月 | 12Mbit/s | マウス、キーボード | RS-232C、PS/2 |
USB 1.1 | 1998年9月 | 12Mbit/s | ||
USB 2.0 | 2000年4月 | 480Mbit/s | 外付け記録装置、プリンタ、携帯機器の充電 | IEEE1394 |
USB 3.0 | 2008年11月 | 5Gbit/s[1] | HDカメラ、Flashメモリを含む携帯機器、SSD、Webカメラ | HDMIの一部 |
USB 1.0
1996年1月発表。最大12Mbps。
USB 1.1
1998年9月発表。USB 1.0の規格仕様を電源管理等について改善した。最大12Mbps。
USB 2.0
2000年4月発表。USB 1.1の規格仕様に、High Speedモード(最大480Mbps)を追加した。
USB 3.0
2008年11月17日に、USB 3.0規格はVersion 1.0として正式なものとなった[2]。早ければ2009年の年末からストレージ機器などの採用機器が登場すると見込まれていたが(参照)、バッファローが2009年10月28日にUSB3.0対応の外付けハードディスクとUSB3.0ポートを増設するためのインターフェイスボードを発売。これは個人が購入できるUSB3.0対応機器とインターフェイスボードとしては世界初となる[3]。コンシューマ向けに販売されているマザーボード、インターフェースボードではNECエレクトロニクス製USB 3.0コントローラチップと、Marvell製SATA 3.0(SATA 6Gb/s)コントローラーチップが同一の基板上に搭載され、単一の製品として販売される事例が多い。
USB 3.0は、物理的な後方互換性を保ちつつ、最大データ転送速度が5GbpsとなりUSB2.0の10倍以上となった。ピンの数が従来と比べて標準では5本増えて計9本となり、USB OTG対応のオプションでは計10本となるが、ピン形状が工夫され物理的な後方互換性は確保された。最大伝送距離はUSB 2.0の5mに対して3mとされる。符号化方式がUSB 2.0のNRZIに対して8B/10BとPRBSが採用され、通信モードも半二重から全二重(単信2組)となる。給電能力がUSB 2.0の500mA (5V)から最大900mAに増やされた。携帯機器への配慮から消費電力の削減が強く求められ、ポーリングが排除され、4つの待機モードも新たに設けられた。
電磁放射雑音のピークを下げるために、スペクトラム拡散クロックが必須とされた。ホストとデバイスのコンセプトは残されたが、デバイスを仮想化して、複数の入出力デバイスを仮想的に接続出来るようにした。光伝送も含まれる予定だったがコスト面からの反対が多く、Version 1.0での導入は見送られた。光伝送技術の導入に積極的なインテルは将来の採用を構想している。
従来のUSB 1.1やUSB 2.0対応の(標準)A端子、(標準)B端子、ミニB端子との後方互換性も確保された。
携帯機器用のUSB On-the-Go用ID識別信号線を確保した。
放射電磁雑音対策のために、信号ケーブルにはシールド付きの物を使用する予定であるが、規格である3mの伝送距離を満たした試作品は直径6mmあり、携帯機器によってはUSBケーブルで宙に浮いてしまう。そういった事態を避けるために今後、伝送距離を1m程度に短くし、伝送損失が許される範囲の規格で更に細い信号ケーブルを使う事も検討されている。
USB 3.0がネイティブ(チップセット内蔵)でマザーボードに搭載されるのは、AMDの場合は2010年頃、Intelの場合は2012年頃(Ivy Bridge対応チップセット)とされている。
また、USB 3.0対応機器のコネクタの絶縁体部には青色を使用することが推奨されている。
Wireless USB
Wireless USBは2005年5月に発表された。Agere Systems(現LSIコーポレーション)、HP、インテル、マイクロソフト、NEC、フィリップス、サムスン電子の7社により策定された。有線USB規格と接続性を考慮しているが、独立した規格として作成されている。
データは128ビットAESで暗号化されUWB技術によりデータを転送する。1つのホストが同時にすべてのデバイスと通信できるため、有線のUSBと異なり、ハブは仕様上存在しない。ただし有線のUSBデバイスをWireless USBにつなぐための有線USBデバイスからみるとハブ的な動作をするデバイスクラスは定義されており、"Device Wire Adapter"(DWA)と呼ばれる。現在市販されている有線USBの先につなぐことのできるWireless USBの親機はWireless USBの仕様上の「ホスト」である。
1つのバス上のデバイスは127個で有線と同じ。論理層では有線USBとほとんど同様の仕様になっているが、無線の性質を反映してアイソクロナス転送の仕様は異なっており、一定数の再送などを行う(有線USBでは再送は行わない)、40Mbpsまでに制限されるなどの差異がある。
通信速度はホスト・デバイス間の距離等により変化することがあり物理層で53.3-480Mbpsをサポートする。ホスト・デバイス間距離3メートルで480Mbps、10メートルで110Mbpsの性能を目標として設計されている。
機能概略
USBでは、1つのバスに仕様上最大127台の機器を接続し同時に使用することができる。ホットプラグにも対応する。ただしOS、USB機器によっては、取り外す場合USBデバイスを停止させる手順を実施しないと警告が出ることがある。これは、ドライバソフトウェアの処理で、状態の不整合による不具合が起こることがあるため。
ホストを根 (root)とし、ハブとデバイスによる木構造の接続形態をとる。通信データはパケット化され送られる。ハブとデバイスは動作中それぞれ独立したバスアドレスを持つ。このアドレスはデバイスがバスに接続時にホストにより動的に割り当てられる。アドレスは7ビットであり、特殊用途のアドレス0を除くと127個の個別デバイスが同一バス上に同時に存在できる。パケットは基本的にブロードキャストされ、パケットに指定されているあて先アドレスを見てデバイス側で必要なパケットを受信する。通信は非対称で、かならずホスト側からの働きかけにより開始される。したがってSCSIなどと異なりバス上でデバイス間の通信を行うことはできない。周辺機器同士を直接接続することが可能なUSB On-The-Goという拡張規格もあるが、これも動作中はどちらかがホストとして動作している。
転送速度
- Low Speed(LSモード)‐1.5Mbps
- キーボードやマウスなど、高速な通信が必要ない周辺機器に用いる。
- Full Speed(FSモード)‐12Mbps
- イメージスキャナやプリンタなど、通信速度が要求される周辺機器に用いる。G5 Laser Mouse等、ロジクールの一部のマウスでも用いられている。USB1.1まではこの速度が最大。
- High Speed(HSモード)‐480Mbps
- 大容量ストレージなどを実用的な速度で扱える。USB2.0で新設された。
- SuperSpeed(SSモード) - 5Gbps
- SSD(Solid State Drive)等の高速デバイスを扱える。USB3.0で新設された。
転送モード
- コントロール転送
- デバイスの設定・制御のためのもの。
- インタラプト転送
- 一定間隔でデータを転送するためのもの。キーボードやマウスなどに使われる。名前から想像されるのとは異なり、ホストからの一定間隔のポーリングによって実現される。
- バルク転送
- 比較的まとまった量のデータを非周期的に転送するためのもの。記憶装置やスキャナなどに用いられる。
- アイソクロナス転送
- 連続的周期的なデータを転送を行う。再送がないため確実性は保証されない。ビデオやオーディオの入出力などに使用される。
USBクラス
USBでは、周辺機器の機能によってグループ分けされたUSBクラスと呼ばれる仕様群が定義されており、それぞれのクラス仕様(クラス仕様によってはサブクラスの仕様)に従って作成されたデバイスには統一した制御インターフェイスを用いることができる。そのため、クラス仕様準拠のデバイスは、クラスドライバと呼ばれる共通のドライバソフトウェアによって動作させることができることになる。例えば、多くのUSBメモリはマスストレージクラスというクラスに準拠し、OSがマスストレージクラス対応のクラスドライバを用意していれば、ドライバをインストールする必要がなく、初めて接続してもすぐに動作する。
ただし実際にはデバイス側の仕様違反、特定ホストの動作に依存したデバイスの実装、仕様上の曖昧さによるぶれなどにより、共通のクラスドライバでは動作しない、ドライバ内に不具合回避処理が盛り込まれる、専用ドライバが提供される、という場合もある。
ホストコントローラの種類
USB規格ではホストコントローラの規格を定義しておらず、以下のホストコントローラ規格はUSBの仕様外である。複数のホストコントローラ規格がある。これらは制御方法が異なるため、それぞれ別のドライバーが必要である。ただし同一ホストコントローラ規格内では共通のものが通常使える。
- UHCI (Universal Host Controller Interface)
- インテルの開発。インテルおよびVIAのx86用チップセットで採用されている。USB1.x時代に開発され、Full/LowSpeed対応。
- OHCI (Open Host Controller Interface)
- マイクロソフト・ナショナル セミコンダクター・コンパックが開発。インテル・VIA以外のチップセットで良く使われている。USB1.x時代に開発され、Full/LowSpeed対応。
- EHCI (Enhanced Host Controller Interface)
- インテルの開発。ただしコントリビューターとしてコンパック・ルーセントテクノロジ・マイクロソフト・NECが挙げられている。USB2.0規格で新設されたHighSpeedをサポートする。通常Full/LowSpeedデバイスとの通信を行うためのCompanion HostController(UHCI、OHCIが普通)が同一チップ内に実装され、Full/LowSpeedデバイスがハブを通さず直接接続されたときに通信を担当する。EHCIはFull/LowSpeedデバイスとの通信も行うことができるが、その場合にはデバイスとの間にあるUSB2.0規格ハブによりHighSpeedへの通信速度変換が行われた上で実行される。
- xHCI (eXtensible Host Controller Interface)
- インテルの開発。USB3.0規格で新設されたSuperSpeedをサポートする。すでにインテルより提供が開始され、周辺機器の開発が始められている。
- WHCI (Wireless Host Controller Interface)
- インテルの開発。Wireless USBのホスト規格。UWB一般の制御とWireless USBのホスト部と複数の機能を同時に定義している。Wireless USB部分の制御方法はEHCIと似ている。
- ScanLogicのSL811HST、NXPセミコンダクターズのISP1160 等
- 組み込み用途向けのマイコンバス直結型USBホストコントローラ。規格化はされていないのでメーカーが異なると全く互換性は無い。
端子類
端子類の形状はUSB規格で定められている。ミニ A端子B端子、ABソケットについては拡張規格であるOn the GO規格内で定められている。
USB Male Plug Type A.jpg USB A端子 | USB Male Plug Type B.jpg USB B端子 |
Mini-A.jpg USB ミニA端子 | Mini-B.jpg USB ミニB端子 | Mini-AB-Receptacle.jpg USB ミニABソケット |
MicroB USB Plug.jpg USB マイクロB端子 | USB MicroAB Receptacle.jpg USB マイクロABソケット |
2009年3月現在、定義されている端子形状には以下のものがある。
- USB 2.0までの対応品
- USB Aプラグとソケット(Standard-A)
- USB Bプラグとソケット(Standard-B)
- ミニUSB仕様
- ミニAプラグとソケット
- ミニBプラグとソケット
- ミニABソケット
- マイクロUSB仕様
- マイクロAプラグとソケット
- マイクロBプラグとソケット
- マイクロABソケット
- USB 3.0までの対応品
- USB Aプラグとソケット(Standard-A)
- USB Bプラグとソケット(Standard-B)
- マイクロBプラグとソケット
A端子類はコンピュータ本体やハブのクライアント側などのホスト側、B端子類は周辺機器の差込口やハブのホスト側などのデバイス側として使われている。ミニB端子類は、デジタルカメラなどの小型デバイス器に使用される[4]。ミニABソケットは、ミニAとミニBのどちらでも接続できるものであり、マイクロABソケットについても同様である。詳しくはUSB On-The-Go参照のこと。
USB 3.0まで対応出来る端子とソケットが2008年11月から新しく仕様に加わった。従来どおりUSB 1.1以降での上位互換性を守り、USB 3.0まで対応可能な端子とソケットはUSB 1.1以降の物との混用が可能である。USB 3.0でのピン数の増加に対応して新たな端子とソケットは、USB 2.0までの規格形状を満たしながら、奥まった位置(A)や2段重ね(B)、横位置[5](Micro-B)に追加の端子が増やされた。
端子は、データ端子よりも電源端子の方が長くなっている。これは、機器が挿抜される際、電源が入っていない状態でデータ端子に電圧がかかり、機器を破損するのを防止するためである。
ピン配置
Pin | Function(ホスト側) | Function(機器側) |
---|---|---|
1 | VBUS (4.75–5.25 V) | VBUS (4.4–5.25 V) |
2 | D− | D− |
3 | D+ | D+ |
4 | GND | GND |
Pin | Function(ホスト側) | Function(機器側) |
---|---|---|
1 | VBUS (4.75–5.25 V) | VBUS (4.4–5.25 V) |
2 | D− | D− |
3 | D+ | D+ |
4 | ID | ID |
5 | GND | GND |
ケーブル
規格ではケーブルはHigh/Full Speed用とLow Speed用の2つが定められている。安価に製造できるようLow Speed用は電気的特性が緩い。Low Speedデバイスではケーブルが分離できるように設計することが明示的に禁止されているため、単独のケーブルはすべてHigh/Full Speed用となる。
誤接続を防ぐため、A端子はホスト側、B端子はデバイス側と規定されている。このため、両側がA端子、あるいは両側がB端子であるようなケーブルは規格違反品である。またこれとは別に、A端子とAソケットが付いたUSB延長ケーブルはA・B端子使い分けの点では問題がないが、複数接続によって規定の長さを超える危険性があるため、これも規格で明示的に禁止されている[7]。
なおそれらのケーブルにUSBロゴがついていた場合は、ロゴの無断使用となる。
互換性
バージョン間
USB 2.0規格はUSB 1.1規格と互換性を保つように設計されたため、USB 2.0規格のUSBポートにUSB 1.1規格で設計された機器をつないでも使える。また、USB 2.0規格で新設されたHighSpeed機器をUSB 1.1規格で設計されたポート、ハブにつないだ場合でも、FullSpeedの転送速度で使用できる。
ケーブル
USBケーブルの規格はUSB2.0で変更されていないので、同じものが使えることになっている。USB1.1の規格を正しく守っていない低品質のケーブルでは、HighSpeed通信においてケーブルの長さなどに制約を受けることもある。また「USB2.0対応」と称するケーブルも発売されているが、これはシールド線構造等外部からのノイズを防ぐ工夫がなされているものと考えられる。
ホストコントローラ
デバイスから見たとき、それぞれのホストコントローラにおける微妙な通信タイミングの相違が存在するため、いわゆる相性によりどちらかでないと正常に動作しないデバイスが過去に存在したものと考えられる。
その他
複数機器接続
規格上は、最大127台までの機器を一つのバスに接続することができる。木構造の「深さ」を示す Tier は、ルートハブ(ホスト)を含め7段までに制限されている。つまりデバイスとホストの間にハブは最大5台まで存在することができる。ケーブルの最大長は規格では遅延時間とVBUSの電圧降下の最大値として定められており、ケーブル1本あたり最大26nsおよび125mVである(§7.1.16, 7.2.2)。
しかし実際には、USBコントローラやハブとUSB機器の「相性」や、ハブの備える物理的なポート数などによって制約を受け、USB関連デバイスの開発メーカー等における接続テストのような場合を除けば、日常的に実際に127台のデバイスを接続して利用する例は極めて稀と言える。言い換えるなら、エンドユーザーが規格上の論理接続数を一般的な利用の範囲内で飽和させるという使用例はまず在り得ず、余裕をもった規格であると言える。
相性問題
USBホストコントローラとUSBデバイス側のコントローラのメーカー・モデル・ファームウエア等の差異、かつてはさらにオペレーティングシステムやドライバ側の問題などによっても相性問題が生じたことも知られており、特に規格成立初期に登場したコントローラ同士を接続した際に混乱を生じたこともあった。
この“初期の相性問題”については、インテルが自社製のPC用チップセットにUSBホストコントローラを内蔵することによって各デバイスがインテル製チップセットのホストコントローラおよびWindowsへの接続に対して互換性の確保を図ることで、間接的に機器間の相性問題も収斂してゆくという結果を、USB1.1、2.0ともに辿っている。また、USB1.1までの仕様では、インピーダンスの幅等の電気的特性における仕様がゆるく、コンプライアンステストも必須でなかったため、相性問題の発生を抑制し切れないという事情もあった。USB2.0仕様では電気的仕様が厳しくなり、USBロゴを取得するためにはコンプライアンステストが必須となったため、「相性問題」はほぼ解消されたといわれる。
しかし市場やユーザーの手元には初期に製造され相性問題を抱える製品が現存している場合もあり、また、一部のメーカー・ベンダ製ホストコントローラとコントローラ間などにおいては、相性問題を発生する状況も依然として存在し続けている。
給電能力
USBは、基本的には信号ケーブルとして設計されている。その一方で実際的な利便性にも配慮し、小電力のデバイスについては、接続される周辺機器の駆動用の電源をUSBケーブルで供給するバスパワード(“バスパワー”と省略されることが多い)による駆動にも対応している。供給電圧は5V、最大電流はローパワーデバイスは100mA、ハイパワーデバイスは500mA(USB2.0)・900mA(USB3.0)まで[8]とされている。
この仕様は、当初はローパワーデバイスについてはPC/AT互換機におけるPS/2ポートのリプレイスを念頭に、マウスやキーボードに搭載される小電力の半導体ロジック等の駆動を前提として設計された。またハイパワーデバイスについてもそれらのロジック回路などよりは電力を要求するものの、いずれもスピンドルの駆動やデバイスの充電手段等としての利用を想定したものではなかった。
ハイパワーデバイスとしての仕様以上の電力を要求するディスクドライブ等のスピンドル媒体や、大規模な集積回路やメモリ等を搭載し電力を消費するキャプチャユニット等については、USBバスは純粋に信号バスとしてのみ利用し、電力はデバイスが自前で確保するという、セルフパワーと呼ばれる接続手段を用いることとされた。
また仮にローパワーデバイスのみの利用に限定したとしても、ハブを使用すれば端子の数こそ増え、電力の不足が生じ得る。PC本体のUSBコネクタが最大500mAのハイパワーデバイスの要求電力に対応していたとしても、これをバスパワー駆動のUSBハブを用いてポートを分岐した場合、そこに仮に最大100mA程度のローパワーデバイスを4基も接続すれば、規格上の供給能力をほぼ全て費やしてしまうことになる。市販のバスパワー駆動のUSBハブの殆どが4ポート以下で構成されている理由もここにある。また、ハブ自体もまた電力の消費と無縁ではない。
セルフパワーハブを適宜介在させることなく、バスパワーハブにさらにバスパワーハブをカスケードしてローパワーデバイスを接続して行けば、規格に対しある程度の余裕をもって設定されたマージンさえ上回る電力要求が、PC側のインターフェイスカードやバス、電源回路に突きつけられることとなる。これらの基本的な事情を無視して無軌道に増設し続ければ、そのツケはコンピュータ本体の電源やバッテリーに回され、駆動時間の著しい減少や電源回路の酷使・過熱、あるいは最悪の場合は保護回路の作動・焼損といった事態すら招きかねない。
しかし市場では実際に、USBの普及に伴いこの僅かな供給電力を、2.5インチおよび1.8インチのポータブルハードディスク、また近年では消費電力の大きいDVD-Rの書き込みドライブ等のスピンドル媒体への供給電力に転用したり、携帯電話・PHSなどのバッテリー充電用の電源として流用する例が目立ち始めた。
コンピュータ本体との接続ケーブルとAC電源を別に用意する煩わしさをなくすために、一本のケーブルで機器を接続したいというユーザーの要求は根強く、USBの給電能力を増強するべくPlusPowerという電圧と電流の拡張も検討されていた。しかし、安全性や互換性の問題などの指摘も相次いだことから正式に仕様には盛り込まれなかった。
この問題を解決するため、PoweredUSBという、USB 2.0ポートを拡張した独自規格が登場した[9][10]。供給電圧5V、12V、24V。最大電流は6A。PoweredUSBに対応した接続ケーブルが必要とされる。しかし、2010年現在、この規格はUSB-IFから正式な承認を得られていない。
また、デバイスとは認識させず、電源のみを供給させる周辺機器も存在する。1台の機器に対して、2つのホストコネクタから2台分のバスパワーを供給するための特殊な二股ケーブルなどが該当する。
汎用給電ポートとしてのUSB
市場では、USBポートからコンセントのようにPCやセルフパワータイプのハブから電力が得られる点を利用して、USBを電源供給にのみ用いる周辺機器が次第に登場するようになった。携帯電話・PHS、PDA・スマートフォン、携帯ゲーム機・デジタルオーディオプレーヤー等の携帯機器用の充電器・充電用ケーブルや、小型扇風機・電灯といったデバイスとは認識されない周辺機器、中にはUSBから電源を得る利点がほとんど見出せないようなものも商品化されており、電気街の商品棚をにぎわせている。年末になると登場する卓上クリスマスツリーや、夏季の扇風機などはもはや風物詩でさえある。中には、USBによるバスパワー30本分(並列接続で15アンペア、計75ワット)を電源として用いる「焼き肉プレート」を自作した人物も存在する[11]。ただし、一台数万円以上もするPCを単なる「高価なACアダプタ」として、最悪のケースでは保護回路の焼損や電源回路の破損・発火等のリスクに曝してまで使用する是非については意見が分かれる。
一方、これらのような「USB周辺機器」を追認する形で、単に電源を供給するために電力供給機能のみに限定した、USBポートと同一形状のコネクタを持つACアダプタや、二次電池(バッテリー等)・一次電池(乾電池等)を使用した給電ユニット等も発売されている。このような製品を使用することによって、外出時にACアダプタを持ち歩かずに充電可能で、かつ複数の機器を単一のACアダプタで使用することが出来る利便性がある。ただし、メーカーが保証している一部機種を除いて、これらUSB関連製品を用いて充電することは機器メーカーの保証対象外となる。
中国・情報産業部では、携帯電話の充電器にUSBポートを設け、複数キャリア間でもACアダプタが共用できるようにする方針を打ち出している[12]。
2007年4月には、USB経由での充電時間を短縮するための規格「Battery Charging Revision 1.0」が策定された[13]。これは、充電器などが、USBのホストが強い電流を流すことができるかを検知することで、従来のUSB 2.0規格における上限であった500mAを超える電流を得ることを実現する仕組みの規格である。
2009年6月に携帯電話の業界団体やEUでも携帯電話端末の充電器のコネクタにマイクロUSBを採用し、共通化する動きがでてきた[14][15][16]。
端子形状・方向
USB A端子はその端子を正面から見るといずれの側からも単なる長方形となっており、接続するための裏表を間違う事がある。実際にはオス側(穴のある側)表面にかかれているUSBのマークにより判断が可能だが、それを利用者が意識せず逆差ししてしまう事態もありうる。初期には逆差しによる故障が少なからず発生していた。
現在の多くの製品ではUSBポートの形状の工夫によって逆差しが物理的に不可能になるようにしているが、いまだ一部製品には逆差し可能なものが存在する。
速度表記としてのUSB 2.0
480MbpsのHigh Speed転送やそれをサポートする機器と規格のバージョン番号であるUSB2.0を同一の意味で使う場合があるが、これは誤用である。USB2.0規格では依然としてFull SpeedデバイスおよびLow Speedデバイスは設計可能でかつ利用可能である。USB-IFではHigh Speedであることを明示したいような場合の用語として"Hi-Speed USB"を使うように指導している[17]。
独自の高速化技術
HDDなどを接続するとHigh SpeedモードでもMass Storageクラス準拠では転送速度がボトルネックとなる場合があるため、転送方法の工夫で実効速度を向上させる製品を出荷しているところがある。バッファローの「TurboUSB」とアイ・オー・データ機器の「マッハUSB」がそれで、20%-30%高速化すると謳っている。ソフトウェアで処理するため接続するパソコンの性能に依存し、両社ともWindowsとMac OSのみの対応となっている。
歴史
USB(ユニバーサル・シリアル・バス)は、それまでのレガシーインタフェースに代わる新たな汎用バス・インタフェースとして、コンパック(現HP)・インテル・マイクロソフト・NECなどにより策定された。
USBインタフェースは、当初からホットプラグを可能とする画期的なインタフェースとして注目を集め、Microsoft WindowsにおいてはWindows 95 OSR2から、MacintoshにおいてはMac OS 8.1からサポートされるようになった。ただし、Windows 95 OSR2とUSB Supplemental Support、及びメーカー提供のデバイスドライバの組み合わせによる対応は追加仕様であり、周辺機器メーカーも乗り気ではなく、OSの標準仕様として盛り込まれる Windows 98 が登場するまでは様子見の感が強く、同様にMacintosh環境においてもMac OS 8.6頃までは数多くの不具合と問題を抱え、共に不安定な状況が続いた。
日本国内においてUSBに対して動きが素早かったのは、USBの仕様策定にも関わったNECである。NECはPC-9821やPC98-NXにUSBポートを搭載するだけでなく、1997年にはTA、マウス、キーボード、スキャナ、プリンタ、ジョイスティック等多種のUSBデバイスを登場させていた。ただし、これらの素早い展開は一部にWindows98以降でサポートされない物も出てくるなど混乱を生じる原因ともなった。
PC/AT互換機
最初のホストアダプタ製品は、1996年にPC向けのPCIインターフェイスに増設するカードとして登場した。
またインテルが1996年にリリースしたPC向けチップセット430HXにおいてUSBホストアダプタ機能を内蔵すると、USBを搭載したPCは急速に普及を開始する。
IBMは、AptivaJ/Hシリーズ1996年11月モデルでオンボードのUSBポートを備えた機種を登場させた(前述の430HXチップセットの採用による)。しかしキーボードやマウスはPS/2ポートに接続されていた。
当時のWindows 95 OSR2では、USBデバイスのサポートは限定的なものだったため、IBM側では動作を保証しない非公式のUSBドライバを添付するに留め、該当機種に付属したマニュアルにはこのドライバの入った付属ディスクに動作未保証が明記され、同社サポートダイヤルでもプリインストールのWindows95と付属ドライバで動作させていた環境では動作保証はないとアナウンスしていた。これらはAptivaに限らず、同時期の他の互換機についても同様である。これらの機種のUSBポートは、Windows 98等のUSBサポート機能のあるOSを導入した際に、はじめて正式対応される性質のものだった。
標準添付のマウスやキーボードをUSBによって接続しPS/2ポートを廃した製品は、日本国内においてはNECが1997年秋に発売したPC98-NX(PC/AT準互換機)が最初とされる。これはUSB接続のマウスとキーボードを「レガシーエミュレーション」によりPS/2デバイスのフリをさせるようにしたものである。ただし、初期のPC98-NXについてはPS/2ポートはシステム基板上に存在し筐体側で塞がれているに留まり、またシリアル/パラレル等のレガシーポートも健在である等、レガシーフリーを徹底したものではなかった。また当時の一部機種ではBIOSのデフォルト設定に問題があり、当時のLinux 2.4系Kernel(カーネル側でもレガシーエミュレーションを想定していなかった)のインストール時に正しく認識することができなかった。このような経緯を受け、後にサードパーティ各社から発売されたUSB機器の中には、トラブルを嫌気してPC98-NXでは動作保証しない旨表示するものも存在した。
なおUSB1.1に正式対応したのはWindows 98 Second Editionからで、その後登場したUSBデバイスは初期版Windows 98以前を対応環境に含めない場合がほとんどである。ただしSecond EditionもUSBマスストレージクラス(前述)などのドライバを標準装備していないため個別にドライバをインストールする必要があり、挿したらすぐに使える便利さは備えていない。
このようにUSBホストアダプタの実現と搭載は早かったものの、PC互換機を中心とした市場では、これらの接続インターフェイスの移行を無闇に急き立てられることはなく、移行は両者が併存する形で緩やかなものとなった。長年に渡って互換性が検証され、よくメンテナンスされた「枯れた」レガシーインターフェイスは動作も安定しており、実際にマウスやキーボードを接続するPS/2は割り込み処理によって低負荷で安定した動作を実現しており、またプリンタや外付けストレージデバイス等を接続するパラレルポートもECPによる転送速度はUSB1.1よりも高速であり、SCSIはさらに高速である。これらのレガシーインターフェイスの多くは、ホットプラグにこそ対応しないもののプラグアンドプレイへの対応は完了しており、ユーザビリティの面でも特に不自由が無かったといった事情も重なったため、USB1.1の段階では性能はもとより利便性の面においても移行にメリットを見出し難いという事情も存在していた。
PC市場においてUSBデバイスはUSB2.0が登場した2000年頃より本格的な普及を開始し、現在では外付け用周辺機器の接続用バスの主流の座はUSBに移っている。レガシーバスを搭載しないレガシーフリーPCも現れており、特にラップトップPCでは比較的早い時期から特に珍しいものではなくなっていた。しかしUSBとレガシーポートの併用もまた、実に10年以上の長期に渡り続いている。レガシーポートを搭載したPCもごく最近まで一般的に販売され続けて来ており、2000年代における現状としては、完全な移行はUSBの登場から10余年をもってようやく完了しつつある、という状態である。
米調査会社In-Stat社は2007年に全世界で出荷されたUSBのポート数は26億ポートに達したと伝えた。同社はこの数が2012年には43億ポートになり、この内USB 3.0は4.5億ポートとなると予測している[1]。
Macintosh
Macintoshでは、1998年にiMacで標準装備された。こちらはモニタ一体型の斬新なデザインとともに、従来の汎用インターフェイスADBのみならずSCSIやシリアルポートも廃しUSBへ一本化するなど、PC98-NXよりさらに思い切った仕様で登場し、話題と議論を呼んだ。従来はUSB機器の製造・販売に躊躇していた周辺機器メーカーも、既存のインターフェイスを扱うことができなくなったiMacシリーズ向けとしてUSBへの対応を迫られる形となり、シリアルポートやSCSIなど従来アダプタの排除を行わず切り替え需要も発生しなかったPC/Windows向けのUSB機器に対し、iMacに向けた製品として市場投入が行われるようになった。
またこのUSB接続の周辺機器が次々に発売されて行く中では、専用のデバイスドライバを必要としないハードウェア(OSやUSBサブシステムに内包されたクラスドライバで動作する、マスストレージクラスやヒューマンインターフェイスデバイス等)の場合は単一パッケージの製品がWindowsとMac双方で接続可能となるものもあり、また一部製品では両環境向けのデバイスドライバを同梱するものや、ハードウェア自体は同一でありながらMac向けとWindows向けのドライバを添付した製品をそれぞれ別パッケージとして供給するものなども現れ、iMac本体に合わせたトランスルーセントデザインのUSB周辺機器が相次いで発売された事もあって、Mac市場では一気に普及が進んだ。
ただ、こういった刷新に等しい切り替えに関しては、iMac/Macintoshシリーズの販売元であるApple社の製品で旧来製品からiMacに切り替えたユーザーのうちに、従来機種用の周辺機器が使えなくなるという混乱を生んだ。その一方で、既存のADBポートを搭載し、USBポートを持たないMacintosh旧機種向けには、サードパーティーからPCIバスに挿入するUSBホストアダプタも発売された。これはPC互換機用のホストアダプタカードと同様の製品であり、実際に単一のカード/パッケージでPCとMacの双方に対応した製品も存在した。
iMac自体はオールインワンで必要最小限の機能をまとめた初心者向け機種としての性格付けから、iMacが「はじめてのアップル・初めてのパソコン」となったユーザーには、プラグアンドプレイは「難しいことを考えずに繋げば動く」という利便性を発揮、これら初心者ユーザーには歓迎され、独特なスタイルも相まって、幅広い層に受け入れられていった。これは当時、同機が社会現象になるほど流行したことにも現れている。
PC-9821
NECのPC-9821は他社に先駆けてUSBに対応したモデルを出していたが、USB登場時点ですでにPC-9821自身が末期だったこともあり、NEC製の機器を除き対応機器は非常に限られているが、Windows98SEでは、結構なものが動く様にドライバが改良された。
ゲーム機
家庭用ゲーム機ではドリームキャストとXboxがUSBをアレンジした独自形状の端子によるコントローラ接続を採用した。最初に汎用USB端子を採用したのはプレイステーション2だが、一部の周辺機器の接続を除けば積極的には活用されなかった。2000年代後半に登場したXbox 360・プレイステーション3の汎用USB2.0端子はコントローラを接続するほか、パソコンに近い柔軟な活用性を持っている。またWiiもUSB2.0端子を備えるが、用途はネットワークアダプタやキーボード、Wii用周辺機器などの接続に限られる。
携帯ゲーム機のプレイステーション・ポータブルはそれ自体がUSBデバイスとして機能し、パソコンやプレイステーション3に接続してデータのやり取り・充電などを行う。
最近のアーケードゲーム基板NAOMIやシステム246等のI/O通信用に、物理的にUSBケーブルが流用されているが、こちらは業界団体JAMMAで策定されたJAMMA VIDEO規格(JVS)となっており、信号レベル・プロトコルともUSBとは互換性はない。
デジタル家電
携帯電話端末はUSBケーブルを使ってパソコンに接続しデータのやり取りや充電、携帯電話の通信網を使ったデータ通信などを行う(携帯電話側の端子は独自のものが多いが、汎用USBポートを採用したものもある(後述)。携帯音楽プレーヤーなどの小型デバイスも汎用USB端子を備えPCに接続するものが多い。
薄型テレビ・AVアンプ・デジタルフォトフレーム・DVD/BDレコーダー/プレーヤーなどもUSB端子を持つものがあり、USBメモリ内のマルチメディアファイルを再生したりデジタルカメラ・デジタルビデオカメラ等との接続に利用する。
サポートするOS
USB 2.0規格に対応するUSBデバイスは幅広いオペレーティングシステム(OS)でサポートされている。以下に主な物を示す。
- Windows 95 OSR2.1以降
- ただし、暫定的対応であることから多くの制限や不備が存在する。事実上はWindows 98とWindows 2000以降の対応とみなすのが妥当である。
- Mac OS 8.1以降
- 同様に数多くの不備・不具合を抱えるため、事実上はMac OS 8.6以降とみなすのが妥当。
- 各種Linuxディストリビューション
- USBクラス仕様でない独自プロトコルのデバイスは、ドライバが提供されていないことが多い。またHigh Speedサポート(いわゆるUSB 2.0)は実質的にkernel 2.4.22以降の対応と見なすのが妥当である。
- 各種BSD系OS
- Solaris/OpenSolaris
- 超漢字
- BeOS、Haiku
- FreeDOS
USBクラス仕様の周辺機器の場合は、USBクラスデバイスをサポートするOS環境下であれば利用が可能である。組み込み系やゲーム機、デジタル家電等の場合は、ホスト側のUSBクラスデバイスのサポートが無かったり、不完全だったりする場合もある。またクラスデバイスでない周辺機器の場合も、各OS向けに周辺機器を認識するドライバソフトウェアさえ用意されれば、同じ機器が利用できる。
USB 3.0規格に対応したUSBデバイスは、早ければ2009年末から2010年前半に最初の製品が登場すると考えられているが、OS側での対応は未定である。
主なUSBデバイス
- マンマシンインタフェース(ヒューマンインターフェース・デバイス)
- 文書関連機器
- 映像機器
- デジタルカメラ
- デジタルムービカメラ
- CCDカメラユニット(=Webカメラ)
- TVチューナー
- デジタルフォトフレームと補助ディスプレイ
- 音響機器
- 外部記憶装置
- 通信装置類
- 内部接続用インターフェース
- その他
- バスパワーだけを使用する機器
- ミニライト、扇風機、マグカップヒーターなど
- 充電器
出典・注記
- ^ a b 『姿を表わした「USB 3.0」5Gビット/秒で機器を接続』 日経エレクトロニクス2008年10月6日号
- ^ USB 3.0の規格はUSB-IFで標準化が進められ、2008年8月のIntel Developer Forumにて、Version 1.0が2008年第4四半期に登場すると明言され、同時にピンの仕様とコネクタおよびケーブルのプロトタイプが出席者に対して公開された。その後、正式な通称が「SuperSpeed USB」とされ、この新しいロゴも公開された。2008年9月には暫定規格であるVersion 0.9が決定され、2008年11月17日に「SuperSpeed USB Developers Conference」上で正式な仕様が発表され、USB 3.0規格はVersion 1.0として正式なものとなった。
- ^ 世界初!! 従来比10倍の次世代高速規格USB3.0に対応したハードディスク - バッファロープレスリリース 2009年10月7日
- ^ 端子形状を変えることにより接続方法を制限し、バストポロジーの木構造が保たれるように配慮されている。
- ^ 横位置とはSideCarと呼ばれる横並びの配置である。
- ^ この場合の「ソケット」はレセプタクルとも呼ばれる機器側の受け口となる「コネクタ」を指す。
- ^ Universal Serial Bus Revision 2.0 specification, 6.4.4 Prohibited Cable Assemblies
- ^ USB3.0 基本仕様(NECエレクトロニクス)
- ^ PoweredUSB.org
- ^ サイズ、5/12Vを最大3A供給できる「PoweredUSB」対応製品, PC Watch, 2006年6月2日
- ^ 動く!改造アホ一台より。
- ^ 人民網日本語版 2006年12月19日付
- ^ USB機器の充電時間を短縮する規格が策定(PC Watch 2007/4/19)
- ^ 携帯電話の業界団体,充電器の規格統一で協力へ(日経BP, 2009年6月30日)
- ^ 欧州で携帯電話の充電器を共通化,Apple,Nokia,RIMなど大手10社が合意(日経ITPro, 2009年6月30日)
- ^ Universal Charging Solution
- ^ USB-IF nomenclature information(USB.ORG)
- ^ USB音源はPCI接続の内蔵用カードなどに比べノイズの影響を受けにくく高音質を実現しやすい。
- ^ CATV/ADSL/FTTHなどのブロードバンド回線では、イーサネットの使用が主流である。
- ^ 携帯電話等ではUSBがインターフェースとして使用されており、それらの内の端末側コネクタが特殊形状のものでは専用の接続ケーブルを必要とするものがある。
関連項目
外部リンク
- USB Implementers Forum, Inc. - USB.org(英語、2009年3月11日確認)
- [1] - USB 3.0などの規格書(英語、2009年3月11日確認)