アルバイト
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アルバイト(独語からの外来語: Arbeit)は、就労形態の一種で、多くの場合正社員と比べて短期間かつ低賃金となる傾向が強く、また一般的には期間の定めのある契約に基づき雇用される従業員を指す俗称。日常会話などではバイトとも略される。
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語源
非正規雇用の一形態。アルバイトという言葉は、ドイツ語で「労働」を意味する名詞のArbeitに由来する。明治時代に学生の間で使われていた隠語が、一般に広まったものである。英語ではパート・タイム・ジョブ (part-time job) やサイド・ジョブ (side job) 等という。ドイツ語で Arbeit といえば労働全般を指し、日本語でいうアルバイトの事は英語からの外来語でジョブ(Job)という。日本固有の概念であるが、日本国外にもフルタイムの雇用とパートタイムの雇用、期限の定めのある雇用と期限の定めのない雇用といった区別がないわけではない。
概要
辞書では、学業や本業のかたわらにする仕事であると記載されていることが多い。「アルバイト」と「正社員」の区別は慣習的なものであり、企業がそのように呼び分けているだけである(「パート」と「アルバイト」の区分についても同様)。法的にはどちらも労働者であり、単に労働時間や契約期間が異なるに過ぎない。アルバイトでも、年次有給休暇を始めとする労働者としての権利の行使、会社が正社員に提供する福利厚生などの対象にはなる。実態として対象となっていない事が多いのは、「会社の方針として対象としていない」ことによる(なお、このような格差の状況に対しては、「バイトだから」といってあきらめないことが大事という意見がある[1][2])。
- 契約面では、正社員が書面によって雇用契約を交わすのに対し、アルバイトは口頭による口約束の場合がほとんどである。[3]
- 給与は、時間給や日当で支払われる事が多い。
- 就労者の構成は、24歳以下の若年者(特に学生)が多いが、高齢者も少なくない。
- アルバイト全体に占める比率は、24歳以下が51%(うち学生は29%)、50歳以上は17.2%[4]。
- 勤務時間は、年間の就業日数が増えるほど、勤務時間も増える傾向にあるが、正社員よりは少ない。
- 年間就業日数が200日未満では、アルバイトは勤務時間が週30時間未満が76%(正社員は11%)、年間就業日数が250日以上では、アルバイトは勤務時間が週43時間以上が48%(正社員は76%)[4]。
- 正社員と同じ仕事を行ったとしても、社会からは所詮アルバイトという差別を受ける事が多い。
勤勉さと利益相反について
アルバイトがまじめに働くほど、企業側が正規雇用者が必要ないと判断する現象がおきている。 フルタイムのアルバイト側からすれば、真面目に働いても正規雇用者にしてもらえる見込みがない場合、求職活動をしながら解雇されない最低限の労働しかする必要がなくなってしまう。企業側が業務を非正規雇用者で代替可能と判断する以上、本質的に非正規雇用者と勤勉性は利益相反の関係にある。
アルバイトの職種・業種
アルバイトの職種・業種は、第三次産業が多い。これは第三次産業の活動が、機械設備等よりも労働力に依存することが多いためである。例えば、下記のようなものがある。
- コンビニエンスストアや各種量販店、販売店の販売スタッフ・店員
- コールセンター(カスタマサポートセンター)のオペレータ
- 居酒屋やレストランなどの飲食店スタッフ(調理系は除く)
- 映画館やゲームセンター、遊園地などのアミューズメント従業員
- 交通量調査などの各種調査員
- 学習塾講師
- キャンペーン・イベントコンパニオン
- スポーツジムのインストラクター
- 工場内作業、建築作業、引越し作業などのいわゆるガテン系
- 等
アルバイトの探し方の変遷
ウェブの普及とともに、「求人サイト」とよばれる、アルバイトの求人募集を網羅したサイトがポピュラーになっている。加え、求人雑誌もフリーペーパー化が顕著で、求人情報の入手経路は多岐かつ無料化が進んでいる。かつては、求人誌は有料、店頭での直接応募などがポピュラーであったが、インターネットの普及と同じく、求人情報へのコスト意識・若年層のアルバイトの探し方にこのような変化があった。
その他
年間の収入合計が103万円を超えた場合、所得税が発生する他、親や配偶者の扶養控除の対象からはずれるため、収入をこの額以下に抑えようとすることがある。なお、2ヶ所以上でアルバイトしている場合、2ヶ所目以降については、1円であっても所得税が源泉徴収されることになる。この場合、合計額が103万円以下であれば、翌年以降5年以内に確定申告をすることで、還付を受ける事ができる。
関連項目
脚注
- ^ アルバイトも6ヶ月以上勤務実績があれば、年次休暇を取得出来る。
- ^ 大阪自治労連 [1]
- ^ 口約束が多くなってきているが、本来労働条件明示書(雇用契約書)の交付は労基法上必須となっている。
- ^ a b 出典:「平成14年就業構造基本調査」
外部リンク